司会 ありがとうございました(笑)。さて、番組が始まって以来、多くの視聴者からいろいろな反響があったと思います。たとえば、ローラースルーGOGOを作品に取り入れたり。私は買ってもらえませんでしたが。
(場内笑い)
鈴木 我々の制作現場っていうのは、オンエアと制作の時期が大幅にズレているし、世の中にどんなものが流行していても、自分たちの思うがままにやって、結果的にそれが当たれば“世の中の流行”になるわけで。だから「流行は自分たちで創るんだ!」っていう強気なところがありましたね。
司会 (ローラースルーGOGOなどを)流行させたのは、『少年探偵団 BD7』の力が大きかったと思います。
鈴木 『少年探偵団 BD7』の数字(視聴率)が良かったのは、長坂秀佳の力だった。彼のおかげです。
長坂 さっき話し忘れてたことがあって。まぁ、「鈴木清を誉めること」なんだけど(笑)。
(場内爆笑)
長坂 俺は「あの当時に、鈴木清が(怪人)二十面相をあの(紫のマントを翻すスタイリッシュな)恰好にさせたのは凄い!」と思うんだよね。衣裳の彩もすごく良いし。でも(怪人)二十面相が変装を解くシーン(当時のビデオ技術・スキャニメイト)で、顔がグニャグニャってなるのが良いのか、よく分かんなかった。さっきも(怪人二十面相が変装を解くシーンの)映像を観たけれども、やっぱりよく分かんなかった。でも「鈴木清のセンスって凄い!」って思った。もう45年くらい付き合ってると思ってたら、まだたかが40年の付き合いだったんだけど(笑)。
『少年探偵団 BD7』を書いてる頃、俺は2DKに住んでたんだけど、あるとき息子がテレビを観てて、俺がちょっと文房具を取りにテレビの前を横切ったら、俺もテレビ画面から目が離せなくなっちゃったことがあった。それで俺も息子の隣に座って、結局最後までその番組を観ちゃった。それは『(スーパーロボット)レッドバロン』の最終回だったんだけど、監督の演出に惹き込まれちゃった。脚本はくだらなかったけど(笑)。
(場内爆笑)
長坂 (『レッドバロン』最終回の)演出に惹き込まれて、それで「監督の名前だけは観よう」と思って、エンディングのスタッフ・テロップ観てたら“鈴木清”って出たんだ。「なんだ、平凡な名前だな〜」と思って、その後一拍あって「あれ? たしかこの間会った奴も同じ名前だぞ」と気づいた。名刺を見て“鈴木清”だと確認して「あ! あいつだ」と思った。俺は鈴木清がプロデューサーになってから知り合いになったから分かんなかったんだけど、カメラセンスが凄くて、俺は今でも「鈴木清は日本のスピルバーグだ!」と思ってるんだ。だから(BD7メンバーの)みんなが自転車で往くシーンは鈴木清のアイディアだし、どこかの自転車財団と話をしてタイアップ獲ってきちゃったり。
別の番組(『小さなスーパーマン ガンバロン』)でグァム島へシナリオハントに行ったら、(現地のコーディネイターに)騙されてて。ガンガン照りのなか、俺と監督だけタクシーの中で延々待たされて。(鈴木氏は)英語も出来ないのに「騙された」と判ってから、役所にロケコースの申請をしに行ったんだよ。ウソ話に騙されてグァム島へ行って、向こうでウソ話だと判ったら、普通はすっ飛んで(日本へ)帰らなきゃならない。(帰国せず滞在すれば)予算遣うし。だけど鈴木清は「(スタッフ・キャスト)全員に(事情を)言っちゃったし、(プロデューサーとして)責任があるし、絶対仕事を獲る!」と言って、役所で(ロケの申請許可を)取ってきちゃったんだよ。俺が鈴木清に会ったのは奴がプロデューサーになってからだけど、博打的な才能はあるし、監督としてのセンスも抜群だし、人間的に素晴らしい奴なんだ。何よりも(『レッドバロン』の最終回を観て)監督としての鈴木清の才能が忘れられなかった。
それで、さっき(席の)近場では話をしてたんだけど。“マジョ”の名前のことね。誰も彼女(山添さん)を紹介してくれないから、俺はただ隣に座ってるだけなんだけど(笑)。
山添 アハハハハ(笑)! (場内も爆笑)
長坂 俺と鈴木清とで、BD7メンバーの名前(キャラクター名とコードネーム)をひとりずつ決めていくんだけど、“ゴムカン(桂正一 演:すのうち滋之氏)”は俺が考えた。それで俺は「紅一点の秋吉めぐみ(のコードネーム)は“テジナ(手品)”にするしかない」って思ってたんだけど、鈴木清が「“魔女”が良い」って言うんだよ。俺は漢字で2文字の“魔女”って婆さんのイメージしかないから「“魔女”はダメだろ」って言ったんだ。そしたら(鈴木氏が)「いや、カタカナで“マジョ”にすれば大丈夫だよ」って言って強引に決めて、俺も他に良い案がなかったから、結局それに決めたんだけど、今タイトル観ると「“マジョ”って、凄くいい名前だな」と思った。…一応、今まで鈴木清を誉めたことがなかったんで、ここで誉めておきます(笑)。
(場内爆笑。大拍手)
鈴木 いつも僕を誉めてくれるのは、長坂秀佳だけなの。(照れ笑いしながら長坂氏に向かって)ありがとう…。
(鈴木氏が長坂氏の背中に手を回し、そろって笑顔。場内大拍手)
司会 とってもいいお話でした(笑)。…さて山添さん、最近『少年探偵団 BD7』をソフトで観直されたのは、いつ頃ですか?
山添 実はまだそんなに(じっくりは)観てなくて…。でも今も、「あなた『少年探偵団 BD7』の“マジョ”を演ってたでしょ?」って言われることはしょっちゅうありますから、「自分のなかでは大きな仕事だったんだな」って思います。インターネットで私の同級生の書き込みをバロン座談会の主催者さんが見つけて、それでうちの親が経営するお店に訪ねてきてくれて、今回の会(BDオフ会)参加に繋がりました(笑)。
司会 そうだったんですか。番組ではタイアップで様々な地方ロケへ出かけましたが、例えば、先ほど観たエピソードでは蓼科高原が舞台になっていました。皆さん、毎回修学旅行気分で楽しいロケだったと想像しますが、いかがでしたか?
山添 まぁ、子ども同士でしたので賑やかでしたけど、あくまで仕事で行ってましたのでねぇ(苦笑)。「(BD7メンバーの) みんなと居て楽しい」というよりは、どちらかというと「仕事で地方へ行くんだ」という気持ちの方が強かったです。
鈴木 (何かを思い出したように、ニヤけながら)いやいやいやいや…(笑)。
山添 (鈴木氏に対し)私たち、現場で楽しそうに見えました? 見えました〜(笑)?
鈴木 (笑)。あのね、地方ロケに来たゲスト俳優さんで、ひとり催眠術を使う方がいたのよ。
山添 ああっ、いました! 太った方で。
鈴木 そうそう、いたでしょ? すごく太っていて…俳優さんの名前が出てこないけど。
(第14話「七色の皇帝時計」ゲスト、プリンス・マホメ・オイラー役の)団厳さんでしょう。
鈴木 そうそうそう、ダンガン(団厳)だ、ダンガン(笑)! それで、夜ロケ先でマジョは(カメラマンの)大岡(新一氏)のところへ遊びに行っていて、僕ら(スタッフ・キャスト)4人で麻雀やっているところには、ゴムカン(すのうち滋之氏)が来たんだ。もう子どもは寝る時間だったのにね。そのときゴムカンが甘えるように僕に身体をすり寄せてきたから、「何なんだよ! 子どもはもう寝る時間だぞ。早く寝ろ!」って怒った。
(場内爆笑)
鈴木 ああいう合宿みたいなロケだから、子どもたちはみんな一緒にお風呂に入るじゃない? それで、当時小学4〜5年生だったゴムカンが、僕に身体をすり寄せながら「鈴木さ〜ん、(お風呂に入って見比べたけれど)ぼく…まだチンチンに毛が生えてないんだ。どうしたらイイの?」って、か細い声で訊くんだ(微笑)。
(場内笑い)
鈴木 そのときのゴムカンが凄く可愛くてさ、「うんうん、大丈夫だよ〜。そのうち生えるから全然心配ないよ」って優しく慰めたことと、マジョが大岡(新一氏)を慕っていたことは、よく憶えているかな。
司会 『少年探偵団 BD7』は、BD7メンバーが年上の異性に恋をして、結局フラレてしまう…というお話が多かったですね。
鈴木 そうだったね。まだ(チンチンの)毛が生えてない、可愛いゴムカン主役の話は、多かったね(笑)。
(場内笑い)
鈴木 やっぱり(BD7メンバーのみんなに)会いたいよね〜。(小林団長役の黒沢)浩君なんて、当時アメリカンスクールに通っていたから、学校の規律がとっても厳しかったのね。だから、週何時間かはちゃんと授業を受けなきゃならない。でも地方ロケへ行っていたら、そんなことさせてあげられないし、(自宅や学校に)帰すわけにはいかないから(ロケ先や撮影所内に)浩君 を“拉致”するんだ。
(場内爆笑)
鈴木 浩君のマネージャーから「浩を家へ帰してください」って電話があると、「はい、分かりました〜」って答えて、そのまま浩君を(ロケ先や撮影所内に)“拉致”! だって我々は(納品期日に間に合うように)撮るしかないわけだからね。で、その尻拭いを誰がどうやったかは分からないけど、そうやって強引に撮りましたよ。結果、『少年探偵団 BD7』は赤字にはなりませんでしたし、面白い作品になったと思いますよ。やっぱり合宿して撮るのが大切で…。(唐突に山添女史に向かって)ねぇ、どうだった? 都内で撮影が終わって「はい、お疲れさま〜」でただ帰るのと、合宿してひとつの作品をつくるのと、気持ち的に違うと思うんだけど、その辺、どう思う?
山添 たしかに(合宿に参加した結果)結構みんな、仲が良くなったと思います。
鈴木 うんうん。都内の撮影と地方の撮影と、2本ずつ交互になるように撮っていくわけなんだけど、それは絶対崩しちゃいけないことなんでね。そういう意味では、半分、もしくは3分の1くらいは地方ロケへ行って、同じ釜の飯を食べて、みんなで気持ちをひとつにしてロケをするって、大人だって子どもだって同じで、とても大切なことだと思うんだよね。だからそれが出来たって意味では、とても充実した作品でしたよ。
司会 なるほど〜。山添さんにとっては、修学旅行的な部分もあったと思いますが、紅一点で女性の共演者が少なかったので、ロケ先では寂しい想いもあったのでは?
山添 地方ロケでは、(明智)ちはるさん(役の女優。第1〜8話:沢田ミキ女史、第9〜26話:藤山律子女史)と一緒にお風呂に入ってました。
(場内から「おお〜」「そうかぁ〜」の声)
司会 特に仲が良かったレギュラーの俳優さんは?
山添 それはよく訊かれる質問ですけど(笑)、特別仲が良かった子はいなかったです。当時はまだ小学生でしたので、恋愛感情のこともよく解らなかったですね。
司会 そうですか。車さんはBD7の子どもたちに、演技指導といいますか、殺陣をどのようにつけようと腐心されたのでしょうか?
BD7の子どもたちのキャラクター設定に基づいて、殺陣をつけましたね。アメフトの恰好をした“ガッツ(篠崎はじめ 演:坂本高章氏)”にはこういう力技をさせようとか、“トンボ(山田三吉 演:辻辰行氏)”には身軽な彼に合わせてバック転をさせようとか。一人ひとりの特技に合わせた立ち廻りと応用を心がけていました。やっぱり、どうしても子どもたちには出来ることと出来ないことがありますのでね。長坂先生が書いてくださった個性的なキャラクターが7人揃っていますので、それらの個性から外れない殺陣にする必要はあ りました。
鈴木 長坂秀佳って、昔も現在もそうだと思うんだけども、彼の書くキャラクターって、みんな“濃い”んですよ。だから一目名前を見ただけで「ああ、このキャラクターはこういう性格なんだろうな」ってすぐ解るところが、長坂秀佳の特徴じゃないかな?
司会 おっしゃるとおりだと思います。次は加藤さんにお訊きします。加藤さんは第7・8話(「10億円の埋蔵金」前後編)にゲスト出演され、子どもたちの仕事ぶりを間近でご覧になったと思いますが、いかがでしたか?
加藤 (子役の)皆さん、よく頑張っていました。子どもたちって、単純に身体能力の高い大人に憧れる部分があると思うんです。私が出させていただいた第7・8話って、たまたまアクションシーンが多い お話でしたから、それで子どもたちに慕われたことはよく憶えています。(“石垣青年”役の)キャスティングは鈴木清プロデューサーのおかげですね。もちろん長坂先生は私のことをご存知でないとは思いますが、「ああ、脚本家の長坂先生が、私をイメージして“石垣”というキャラクターをカッコよく書いてくださったんだ! 私のための脚本なんだ。正義のヒーローみたいなアクションが書かれていて、これは頂きだ!」みたいな気持ちで演りました(笑)。
(場内笑い)
加藤 あと、殺陣師の車さんとは昔から親友でしたし、私の身体能力がどの程度のものかよく解っていてくれたし、彼の空手を盛り込んだ殺陣を息を合わせて楽しくやることが出来て、やり易かったですね。(『レッドバロン』『マッハバロン』でも)何の作品でもそうですが、朝ロケへ行って夕方帰ってくるだけですけど、ロケに行けば、子どもたちだけじゃなくて大人でもお互い親近感が湧いてくるんです。鈴木監督、そうですよね(笑)?
鈴木 そうそう(頷く)。
加藤 たしかにロケはお金がかかるという側面がありますが、(スタッフとキャストの)結束力が固まる儀式みたいなところが絶対あると思うんです。
うんうん(頷く)。
鈴木 ちょっと話が飛ぶけど、今は会社で社員旅行って、殆どないんだよね。僕らが円谷プロにいた頃って、結構社員旅行に行った。ところが今は殆どの会社で旅行に行かない。当時の地方ロケと社員旅行って、意味合いでは相通ずるものがあって、とっても大切なものだと思うんだよね。やっぱり同じ釜の飯を食って、一緒に行動していると、自然と「オープン・ザ・ハート!」っていう気持ちになってくる。だからもし僕が社長になったら、必ず社員旅行はやりますね。たまたま社長になれないだけでね(笑)。
(場内爆笑)
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