日本郵船氷川丸
“氷川丸”全景。84年前に建造された客船が、ここまで完璧な保存状態を保っていることは稀有だろう。バロンシリーズにおいて鈴木清監督は、都合3本(『レッドバロン』第38・39話、『マッハバロン』第1話)をこの“氷川丸”内で撮影している。
“日本郵船氷川丸”レポート
レポーター◎「こちら特撮情報局」奥虹

“氷川丸”は、1930(昭和5)年に国内で建造された日本郵船所有、シアトル航路の貨客船。船種:汽船、船質:銅製、総トン数:11,622トン、全長:163.30メートル、航海速力:18.38ノット、出力:5,500馬力×2基、旅客定員:289人。
ディーゼルエンジン、船舶構造や設備の国際基準を先取りした“水密区画”など、当時においては最新の設備であり、戦中は海軍特設病院船として、戦後暫くは復員輸送船としても活用された。1953年にシアトル航路に復帰したが1960年に引退。1961年に横浜山下公園前の桟橋に係留され、社会科教育の教材としての役目も果たし、2003年には横浜市有形指定文化財に指定された。
船内は操舵室のあるNデッキとA〜Dの計5デッキから構成されている(5階建ての建築物に例えると、Nデッキが5階部分、Aが4階部分〜Dが1階部分)。各デッキには主に以下の設備と部屋がある。Nデッキ:操舵室・船長室、Aデッキ:一等読書室・一等社交室・一等喫煙室・一等客室・一等特別室・屋外デッキ、Bデッキ:一等児童室・一等食堂、Cデッキ:NYKラウンジ・機関室・ギャレー・三等客室、Dデッキ:機関室。特に機関室は、竣工当時に最新鋭だった84年前のエンジンが、そのままの設備のまま遺されており、貴重な産業遺産となっている。
バロンシリーズでは、氷川丸船内の以下の箇所が撮影で使用されている(Nデッキ部分は使用されず)。A〜Dで区分けすると、『レッドバロン』第26話、氷川丸の“機関室”(C・D)が鉄面党海底基地内部として。『レッドバロン』第38・39話、“一等特別室”(A)と“船内一等客室通路”(A)が宇宙鉄面党基地内部として。『マッハバロン』第1話、“一等特別室”(A)と“屋外デッキ”(A)が嵐田陽一郎一家のドイツからの帰国船内部として。撮影ポイントの殆どは、機械的な画(え)が必要とされるシーンに使われた“機関室”(C・D)以外は、設備や調度が豪華なAデッキに集中している。
『レッドバロン』第26話劇中、SSIメンバー背後に映り込んでいた、Cデッキにある機関室のクランク群。劇中では画像のように塗装されておらず、金属部がシルバーでむき出しだった。
『レッドバロン』第26話、偽モノのレッドバロンから脱出した健は、秘密基地で大郷や矢沢博士と合流した。無傷の健とバロンを見て驚く熊野や大助たち。大郷の言う“シャドウ作戦”とは、二重構造の地下工場格納庫の特性、および2体(ニューバロニウム製・アルミニウム合金製)のレッドバロンすり替えにより、敵をトリックで翻弄、強化のための時間を稼ぐ…というものだった。
しかし行方不明の大作は、ブレスレット内に“7つの補強策の秘密”を持っている。もしもそれが鉄面党に渡ってしまったらバロンの強化作業も水泡に帰す。健を基地に残し、大郷たちは大作が消えた中田島砂丘へと急ぐ。
その頃、鉄面党海底基地では、捕われていた大作が“7つの補強策の秘密”を隠したブレスレットをデビラーに取り上げられていた。キングデビラーのヘッドギロチンにより首を飛ばされたバロンの映像を大作に観せ、勝ち誇るデビラー。SSI隊員としてせめて一矢報いようともがく大作だが、デビラーに顔を焼かれてしまう。
だが部下から“シャドウ作戦”の事実を聞かされたデビラーは激昂。砂丘に秘密の通路があることを仲間に知らせたい大作は、敢えてデビラーを挑発する言動をするが、その結果、体内に時限爆弾を埋め込まれ“人間爆弾”に改造されてしまう。
砂丘で大作を探す熊野たちの前に、腕に包帯を巻いた大作が突如現れた。
デビラーは大作に「紅健と大郷を巻き込め」と命令していた。時限爆弾に改造された右腕を無言で大郷の前に差し出す大作。大郷は全てを察し、もはや大作を生きて救出することは不可能であると覚っていた。大作の無事を知り、遠くから駆けてくる健。
大作はブレスレットを鉄面党に奪われた失策を大郷に詫び、それをデビラーが右腕に着けていること、この先に敵の海底基地に続く秘密通路があることを告げる。「みんな、元気で! 大助、大きくなれよな。鉄面党を憎め。そして戦うんだ!」。泣き叫ぶ大助や、成す術もなく苦悩の表情を浮かべるSSIメンバーに微笑みながら、大作は炎に包まれ四散した…。
再び現れたキングデビラーを駆逐するため、健はバロンに搭乗。大郷・哲也・真理は、鉄面党の海底秘密基地を破壊するため、行動を開始した。
バロンはキングデビラーの分銅攻撃・バットフェザーに苦戦。またSSIも砂丘の中から現れたメカロボたちに苦戦するが、とうとう秘密通路の入口を発見、時限爆弾を仕掛けるため潜入する。タイマーは残り時間(30分)を刻一刻と刻むが、メカロボ包囲網は厚く3人は脱出できない。しかも大郷はデビラーが腕に着けているブレスレットを奪い返す算段でいる。
その危険な任務を志願する哲也・真理を戒め、直ちに脱出するよう命令を下す大郷。時限爆弾の爆破時刻を予定より早めて、敵を撹乱した大郷は哲也・真理を逃がす。
デビラーのいる司令室まで辿り着いた大郷は、拳銃を突きつけブレスレットの奪還を図るが、一瞬の隙を突かれ、右手と額を焼かれる。
大郷はカウンターでデビラーの腹部を撃ち抜いたが、「海底基地を破壊されても我々には宇宙基地がある」と、デビラーは嘯く。
デビラーの最期を看取った大郷だが、誤って飛行艇の起動スイッチに肘を突いてしまった。大音響とともに爆破を起こす鉄面党海底基地から、デビラーの遺骸と大郷を乗せた飛行艇が海面から飛び出す。
デビラーの正体がサイボーグであることを知った大郷は、「大作、ブレスレットは取り戻したぞ」と感極まるが、悲劇はすぐそこに迫っていた。
キングデビラーの設計図を見つけた大郷は、敵ロボの弱点が「腹部に内蔵されている自動コントロール装置」であることを健に告げる。
矢沢博士の助言で、ドリルアローを発射したバロンは、強敵キングデビラーの腹部を攻撃、敵は四散した。
健の呼びかけに目を醒ました大郷は、異様な周囲の風景に気づく。宇宙空間だ。デビラーの司令室はそのまま宇宙船になっており、火星基地へ自動回収されようとしていた。
大郷は健・哲也・真理に「鉄面党は宇宙からやって来るが、力を合わせれば必ず勝てる。頼む ぞ!」と言い残すと、自ら通信を遮断する。
ブレスレットは取り戻したが、それを敵の火星基地へ運ばせるわけにはいかない。悲壮な決意とともに時限爆弾のタイマーをセットした大郷は、「さらば地球。さらばSSI」と呟きながら、飛行艇とともに宇宙空間で四散した。
健・哲也・真理・熊野は、夕陽に映る大作と大郷の面影を見つめながら、新たな敵と戦い続けることを固く誓う。

大作の遺言によって、鉄面党海底基地への秘密通路を知った大郷ボス・哲也・真理は、時限爆弾を仕掛けるべく基地へと侵入する。しかし侵入に気づいたメカロボたちが大郷たちの任務を妨害する。SSIはCデッキの動力室から階段を降り、Dデッキの動力室へ移動。
メカロボたちを倒した大郷ボスは、時限爆弾をセットする。セットした位置はCデッキ内動力室にある計器類の辺り。
真理と哲也も時限爆弾を仕掛け終わったタイミングでメカロボたちに襲われるが、見事それを駆逐する。真理・哲也がいたスペースはDデッキの動力室。
DデッキからCデッキへ上がる階段に集合した大郷・哲也・真理だが、思いのほかメカロボたちの警備(Cデッキ部分)が厳重なため、基地外部への脱出ができない。そこで大郷は時限爆弾の爆破時刻を早め、爆発の混乱に乗じ基地から脱出する作戦を哲也・真理に告げる。
爆発を知ったメカロボたちは慌てふためき、爆発の原因を探るため、Cデッキ・Dデッキを繋ぐ階段付近から走り去る。
『レッドバロン』第26話劇中、大郷が時限爆弾を仕掛けた計器部分。CデッキからDデッキへ下る位置にある(左画像)。
『レッドバロン』第26話劇中、メカロボたちの警備が厳重なため、大郷・哲也・真理はこの辺りで行き詰まり、作戦を立て直すことになる。画像上のCデッキにメカロボ、画像下のDデッキに大郷たちがいた(右画像)。
Dデッキの機関室内。哲也・真理が時限爆弾を仕掛けたシーンなどで使用されているが、バロンシリーズでは他のエピソードでも使用された可能性がある。
『レッドバロン』第38話、宇宙航行中、突然意識を失った健が目を覚ますと、そこは宇宙鉄面党の火星基地だった。健からの「無事火星に到着」の報に湧き立つSSI本部。健を愛する真理も嬉しさを隠しきれない。
バロンを降り、独り火星の大地を歩行する健を宇宙鉄面党戦闘員が急襲した。健は右腕を負傷したまま拘束され、連行された基地内で懐かしい顔と再会する。父・紅健太郎博士だ。「おう、来たか!」。悠然と息子・健を迎える紅博士だが、健の腕の怪我を見付けるとみるみる顔色が変わった。
「丁重に迎えろと言ったはずだぞ!」。戦闘員を罵ると、杖で殴打した挙句に射殺。火星で怯えた生活をしているものとばかり思っていた父が、まるで帝王のような威厳と残酷な一面を見せた。ロケット型カプセルレターは、紅博士が健を火星へおびき寄せるために用意した“罠”だったのだ。
「鉄面党に魂まで売ってしまったのですか? 俺と一緒に地球に帰りましょう!」。必死で訴える健に、紅博士は「人類はもうすぐ我々鉄面党のものになる」と答える。その一言でバロンで火星基地を破壊することを決意した健の心は、哀しみと怒りで張り詰めていた。
目の前に現れたデイモスZと対峙するバロン。瞬間移動を得意とするデイモスZは、バロンが火星から脱出できないよう、まずスペースウィングスを冷却液で固めると、火炎放射砲でウィングスを破壊。焦る健はレインボーショットを放ち、デイモスZを破壊したと思ったその刹那、またも敵は目の前から消失した。
SSI本部に一報を入れる健だが、全てを伝え終わらないうちにバロンのコックピットに戦闘員が侵入、健は再び拘束される。紅博士の前に連行された健は「俺は鉄面党が憎い! こんな所で生活するくらいなら死んだ方がマシだ!」と感情を露わにし、対する紅博士も「次は容赦しない」と言い放つ。「俺はロボットじゃない。俺には誰にも支配されない自由な心がある!」。健の言葉に、機械人間と化した紅博士は無言のまま部屋を後にする。
その頃地球では、真理が三神に「火星に再びスペースウィングスを送り込むことは可能か?」と訊ねていた。「一種の推進装置であるウィングスなしでは、火星からの脱出は不可能だ」と答える三神の心中も辛い。
そんなSSI一同の前に、突然“鉄面党のセールスマン”を名乗る黒づくめの男が現れ、「健とバロンは宇宙鉄面党の一員となった」と告げる。さらに「SSIが降伏しなければ、デイモスZが東京を砂漠にする」と脅迫。男を拳銃で撃ち、降伏拒否の意を示した哲也たちに対し、男は「10分間返事を待つから地球の運命を決めろ」と嘯く。聡明な三神は瞬時に男の消失が“電送移動”であることに気付く。
物質を電波に換え、2つのポイントを行き来するためには、複数の受信装置が必要となる。その装置が東京のどこかにあることは確実で、熊野警部はそれを必ず発見することをSSIに約束する。真理たちも火星で戦う健のために、地球に現れたデイモスZとの勝算低い危険な戦いを選択する。
ビルをも溶かす溶解ガスと強力な冷却液でコンビナートを破壊するデイモスZに、SSIは特別訓練で鍛えた腕を以て立ち向かう。熊野も電送受信装置の探索に必死だ。「デイモスZがフェイスチェンジする際に僅かな隙が生まれる。そこを攻撃せよ!」。三神の作戦を哲也が遂行するため、真理は自ら囮になることを志願。三神の読みが的中し、デイモスZは哲也のバズーカ砲で四散する。
一方“宇宙線研究所”の電波塔が怪しいと睨んだ熊野は施設内に侵入するが、待ち伏せていた敵に拉致されてしまう。
またその頃、火星基地の健は小惑星フォボスに推進装置が付いていることに気付いていた。一体何のために? 調査のため部屋を脱出した健は、父の部屋から「フォボスを惑星ミサイルと化し、地球を攻撃するための計画書」を発見する。
敵の通信施設を奪った健は、地球のSSIに事の仔細を報告するが、たちまち通信を妨害され三たび拘束される。「鉄面党の作戦の秘密を地球に漏らした」と、紅博士は健をなじり殴打するが、健は怯まない。自分の息子に極刑を言い渡した紅博士は、健の眼前に黄金色の銃を突き付ける。健と地球の運命は…!?

レッドバロンともども火星に電送移動させられた健は、宇宙鉄面党戦闘員たちに拘束され、敵の幹部となった父・紅健太郎のいる部屋まで連行される。位置は氷川丸内Aデッキの通路。
戦闘員たちに“幹部の間”へ入るように促された健は、そこで死んだ筈の父・紅健太郎の姿を見て、歓喜の声を上げる。健の背景に映るのは、Aデッキにあるいずれかの一等客室のドア(部屋内部からのアングル)。
デイモスZにスペースウィングスを破壊された健は、再び戦闘員に拘束され、火星基地内のとある部屋へ連行される。場所はAデッキにあるいずれかの一等客室のドア(部屋外部からのアングルだが、一等特別室のドアかどうかは不明)。
部屋の中には宇宙鉄面党の幹部となった父・健太郎がいた。父は健に「ここがお前の部屋だ。何不自由なく暮らせる手筈になっている」と威圧的に語りかける。アールデコ調にまとめられた高級感漂うこの部屋は、一等特別室。1932年の第11次航海でチャールズ・チャップリンが、1937年の第47次航海ではイギリス国王ジョージ6世の戴冠式から帰国の途にあった秩父宮夫妻が宿泊した、特別な部屋だ。
「俺には誰にも支配されない自由な心がある!」。父・健太郎との対決を決意した健は、怒りのあまり近くにあった高級植木鉢を床に叩きつける(実際は叩きつけるゼスチャーに鉢が割れる効果音を被せている)。
健の言葉に無言のまま部屋を後にする健太郎。その近景、戦闘員はマシンガンを構えて健を軟禁状態にする。場所はAデッキにあるいずれかの一等客室のドア(部屋外部からのアングルだが、一等特別室のドアかどうかは不明)。
惑星フォボスに推進装置が付いている様子を窓から確認した健。場所は一等特別室内。
健は惑星フォボス調査のため脱出を試み、警備の戦闘員を倒す。場所は一等特別室と一等社交室を繋ぐ通路か?
健は父・健太郎が戦闘員を従わせ“幹部の間”から出てくる場面を目撃する。健太郎が立ち去った後、健は“幹部の間”へ潜入する。場所は一等客室前の通路。
鉄面党の作戦が「惑星フォボスに推進装置を付け、ミサイルにして地球に射ち込むこと」であると知った健に、戦闘員たちが攻撃を仕掛ける。場所は機関室内(C・Dのいずれか)。
敵の通信室を乗っ取り、宇宙鉄面党の恐るべき作戦をSSI本部に連絡する健。通信室のドアはおそらく一等特別室のものと思われる。
『レッドバロン』第38・39話、宇宙鉄面党火星基地内の健の部屋(軟禁室)として使用された一等特別室。オウムが描かれたステンドグラスやアールデコ調の家具が高級感を醸し出している。元々、VIP船客専用の部屋であるため、氷川丸船内では最も格調高く感じられる。

↓Aデッキにある一等客室前の通路。『レッドバロン』第38・39話では、宇宙鉄面党火星基地内の通路として、数シーンが撮影された。
『レッドバロン』第39話、健を銃殺刑に処すため引金を引こうとした紅博士を制したのは、意外やギラスQ総統だった。ギラスQは紅健を死刑に処すより、バロンとその唯一の操縦者・健を、宇宙鉄面党の配下として支配する方が得策だと考えたのだ。
その時、ギラスQに従順だった紅博士が、突然胸を押さえて苦しみ出した。鉄面党に誘拐された際、既に脳細胞以外“サイボーグ”に改造された紅博士の人工心臓は、僅かながら狂いを生じていたのだ。直ちに宇宙鉄面党の緊急医療班が人工心臓を調整し、事なきを得た。そんな紅博士に対し、健は「あんたは俺の父さんじゃない。心を持たない機械人間だ!」と軽蔑の言葉を放つ。
宇宙鉄面党を倒すことは出来なくても、せめて“フォボス惑星ミサイル”の推進装置を破壊することは出来る。そう考えて再びレッドバロンに搭乗する健だが、既に父の部下により動力源である原子炉が抜き取られており、バロンは始動しない。
その頃SSIは、電送装置を捜索に行ったまま戻らない熊野の行方を探すため、“宇宙線研究所”に潜入していた。戦闘員を次々と打ち倒す三神・哲也・真理だが、眼前で捕縛される熊野警部を“餌”にされ、電撃の罠で一網打尽となる。
「直ちに捕縛した4人を火星に連行せよ!」。ギラスQの命令で三神ら4人は火星に電送連行され、“フォボス惑星ミサイル”の操縦士として、地球へ撃ち込まれることになった。
火星基地内の自室に電送されて来た4人の姿に健は驚くが、部屋へ入って来た紅博士は、何故か4人を丁重に持て成そうとしていた。人工立体スクリーンで海の景色を映し出した部屋の中、三神ら4人に紳士的に声を掛ける父・紅博士を、健は不安げに見守っていた。
「はっきり言うといい。私が宇宙鉄面党技術最高幹部であることを!」。紅博士の放った衝撃的な告白を4人はすぐに理解できない。グロテスクな人工心臓を敢えて露出させた紅博士は、4人に「永遠の生命は人間の夢。私は死を恐れず生き続けることが出来る」と、諭すように語る。
三神は紅博士が何者かに頭脳を操られていることを看破。健にそのことを伝えた途端、4人は“フォボス惑星ミサイル”の操縦席へと電送されてしまう。「地球を破壊してしまったら、何にもならないじゃないか」。ミサイル発射中止を求める健に、紅博士は「我ら宇宙鉄面党にとって地球など一個のテスト場に過ぎないのだ」と冷徹に答える。さらに地球爆破テストが成功した暁には、今後は宇宙征服に乗り出すという。
紅博士の懐にあった黄金銃を奪い取った健は、父に作戦の中止を訴えるが、もみ合ううちに弾は紅博士の胸を貫通した。同時に“フォボス惑星ミサイル”は、地球に向け発射されてしまう。
ギラスQとの直接対決を目論む健は、ギラスQが人工頭脳であることを知ると、冷静にこれを銃で破壊した。弾が貫通したショックで正気を取り戻した紅博士は、5分経つと自動的に次のギラスQが誕生すること、惑星ミサイルを阻止するためにはフォボスに直接乗り込まなければならないことを健に告げる。
紅博士は抜き取っていたレッドバロンの原子炉を健に手渡すと、スペースバスでバロンの後を追うことを約束する。再起動したバロンの前に、またもや宿敵・デイモスZが出現。デイモスZは小型ミサイル連射と火炎放射の連続攻撃でバロンを圧倒、さらには瞬間移動でバロンのビーム攻撃を難なく躱す。
息子のピンチに際し、デイモスZの移動装置を停止させた紅博士は、さらにデイモスZの弱点が火炎面の右目部分にある旨を健に伝える。バロンはすかさずバロンパンチでデイモスZの右目を破壊すると、制御の効かなくなった敵にレインボーショットを炸裂させ、遂にはこれを葬った。
父の操縦するスペースバスと合体したバロンは、“フォボス惑星ミサイル”を追い掛け宇宙空間を往く。5分が経過し新たに甦ったギラスQ(2号)は、地球への総攻撃を宣言。
惑星ミサイル操縦席の4人を救出した紅博士だが、再び甦ったギラスQの呪縛に負けそうになり「早く私を殺せ!」と叫ぶ。苦しみながらも惑星ミサイルの軌道を火星基地へと変えた紅父子と三神ら4人は、バロンとスペースバスに搭乗しフォボスを脱出。ギラスQ(2号)は“フォボス惑星ミサイル”によって火星基地諸共自滅し、宇宙の藻屑と消えた。
力を合わせ地球の平和を取り戻した紅父子・SSI・熊野は、富士山麓で野点(のだて)を堪能する。紅博士は、着物姿も麗しい真理の点てた茶を「地球の味。日本の味」と評し満足げだ。同じく着物姿の水木隊員が奏でる琴の調べを楽しみながら、紅父子・SSi・熊野は“白糸の滝”を散策する。紅博士は「一度だけでいいからレッドバロンを操縦してみたい」と健に告げるも、その途端、心臓を押さえその場に倒れ込む。
駆け寄る三神たちに対し、息も絶え絶えの紅博士は、「地球と火星では重力が違う。人工心臓に狂いが生じたのだ。早くレッドバロンに乗せてくれ」と苦しそうに訴える。バロンを召還した健は父を背負い、瀕死の父の言葉を噛み締めていた。「人間はロボットになることが出来ても、ロボットは人間になることは出来ない。人間の生命も時のなかで育ち、やがては大地に還るべきだ。滅びない生命などない」と。紅健太郎博士は息子・健のその背中で事切れた。
バロンのコックピットに亡き父を座らせた健は、父がバロンに乗りたがった理由が「最期は人間らしい誇りを取り戻したかったから」だと気付く。熊野は「紅博士は“機械じかけの明日”を自ら拒否なさった」と、尊敬の念を隠さない。富士山麓の大地を一歩一歩踏みしめるバロン。共にバロンの操縦桿を握る亡き父に、健は「どんなに科学が発達しても科学の奴隷にはならない」と固く誓う。
熊野は鳥かごのジュウシマツを解き放つよう大助たちに促し、自由を得たジュウシマツたちは、富士山を背景に大空高く飛び立った…。

宇宙線研究所の電送室から、火星基地内にある健の軟禁部屋へ移動させられた熊野・三神・哲也・真理。4人の唐突な出現に、健は「どうして来たんだ(来てしまったんだ)! 惑星ミサイルのパイロットにされてしまうぞ」と嘆く。場所は一等特別室内。
電送されてきた三神たち4人に「ようこそ、火星へ」と、歓迎する素振りを見せる紅健太郎。場所は同じく一等特別室内。
横浜山下公園前の桟橋付近(入場口付近)から屋外デッキ方向を望む。『マッハバロン』第1話、屋外デッキでは、ドイツから帰国の途に就く嵐田一家が楽しく語らっていたが、その直後ララーシュタインの刺客・ハイルV1号が船客たちを襲った。
『マッハバロン』第1話、航行中の客船のデッキに、ドイツから緊急帰国する世界的ロボット工学博士・嵐田陽一郎とその家族の姿があった。恩師・ララーシュタインの世界征服の野望を知ってしまった嵐田博士は、妻子を連れ、秘密裏に帰国の途に就こうとしていたのだ。しかし“ロボット帝国総統”を名乗る狂気のララーシュタインが、博士を生かして返す筈もなかった。ハイルV1号で客船を撃沈される直前、博士はマッハバロンの設計図を隠した救命胴衣を息子・陽に着せると、直ちに避難させた。客船の生存者は陽少年ただ独りだった…。
10年後、嵐田陽は快活な青年に成長していた。陽の祖父にしてコンツェルンの総帥である嵐田竜之介翁は、私財を投じKSS(国際救助隊)を結成するとともに、亡き息子・陽一郎が設計した高性能ロボット・マッハバロンの建造を、盟友・村野博士と密かに進めていた。しかし唯一の操縦候補者である陽は、両親の仇を討ちたいと切望する反面、バロン操縦のための地道な特訓は忌み嫌っていた。

客船の屋外デッキに佇む息子・陽を見かけた嵐田夫妻。両親に対し、陽少年は「今日はイルカが一頭も見えないんだ」と答える。
ハイルV1号の出現に、嵐田陽一郎博士は「(自分を付け狙う)ララーシュタインの手がここまで(迫っていたとは)!」と驚愕する。場所はAデッキに位置する屋外デッキ。
ハイルV1号の銛型魚雷を見た嵐田博士は、急いで妻子を屋外デッキからAデッキ内へと誘導する。
マッハバロンの設計図を隠した救命胴衣を陽に着せた嵐田博士は、「お前は必ず生き延びて、この胴衣をお祖父ちゃんに渡すんだ!」と陽少年に言い聞かせる。場所は一等特別室内。
『マッハバロン』第1話、嵐田一家がハイルV1号を発見したのは、この階段を上がった辺り。
バロンシリーズにおいて、“多摩川周辺”“お化けマンション(現.町田市能ヶ谷きつねくぼ緑地)”をロケ地とし て多用している鈴木清監督だが、この“氷川丸”も同監督演出回に登場することが多い。鈴木清監督曰く「メインスタッフ総出のロケハンにより決定される」という数多くのロケ地候補。それら候補地の中でどの場所をロケ地として使うかは、やはり各監督の嗜好が如実に表れるものなのかも知れない。

日本郵船歴史博物館 日本郵船氷川丸
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