“所沢浄化センター”跡
“所沢浄化センター”跡正面。この向かいに東川があり、東川を跨ぐ松郷コンポストセンターでは、処理過程で排出される汚泥を堆肥として再利用するための処理が行われていた。
“所沢浄化センター”跡レポート
レポーター◎「こちら特撮情報局」奥虹

『マッハバロン』第24話、“V900地獄作戦”の実行ロボ・メガトンゲーにより地中に閉じ込められてしまったマッハバロンと嵐田陽。岩井・白坂両隊員はキスバード1・2号とバロンをワイヤーで結び、引き上げようと“フィッシング作戦”を試みるが失敗、遂にバロンは敵基地内に拘束されてしまう。高原周辺にある筈の敵基地の位置を探索するKSSメンバーたち。そこに降伏を勧めるタンツの声が高原一帯に木霊するが、村野博士は「例え手足をもがれてもKSSは戦い続ける!」と対決姿勢を崩さない。対するララーシュタイン総統は、東京を水爆ミサイルで“火の海”と化し、村野を絶望の淵に追い込むと豪語する。
敵基地探索を続ける村野たちは、付近の川湯(排水)の異常な高温度から、地下基地で扱われている物質がウランであることを突き止める。その頃、地下基地内の彷徨っていた陽は、建造途中の水爆ミサイルを発見、何とかこの事実をKSSメンバーに通信連絡しようと試みるが、その全容を伝え切る直前に、再びタンツに拘束されてしまう…。
センター正面付近にあるタンク。おそらくは下水処理の過程で使用される、何らかの薬剤が貯蔵されていたものと思われる。隣接するスーパーの屋上駐車場より撮影。
“所沢浄化センター”は、かつて所沢市東所沢和田3-31に存在した“し尿処理施設”。バキュームカーなどによって運び込まれたし尿・浄化槽汚泥を施設内で処理し、その後公共用水域(東川)へ放流するための施設。当該施設の尿処理量は年間1,630キロリットル、浄化槽汚泥処理量は年間5,996キロリットル。システム上、脱水汚泥の直接埋立もなく、脱水汚泥の焼却もなされなかったため、周囲への異臭は度々問題化していたようだ。1965年に運転が開始され、2012年に閉鎖された。
『マッハバロン』第24話の撮影は、当該施設運転年度(1965年)から約10年後。劇中映り込んでいるパイプなどが真新しかったことから、昭和40年代に普及した“好気(好気性消化)処理法”(時間曝気により酸化分解し、さらに活性汚泥法で処理)から、昭和50年代に普及した“湿式酸化処理法(別名:水中燃焼処理方式)”へと、システム更新された時期に、丁度撮影が行われたと思われる。後者は高温高圧(7.8MPa、250℃)条件で、空気中の酸素と反応させて有機物を分解、後段に活性汚泥設備をおく方法。元々下水汚泥向けにアメリカで開発された処理法とのことだ。
処理過程にあるし尿は、(画像)後方や前方の配管を通り、次の処理場へ運ばれたのだろう。前方の施設にあるブルーの塗装の階段からは、さらに地下へも進めるのかもしれない。
番外編インタビューにて、下塚誠氏より「第24話の“ララーシュタインの秘密基地”という設定で、所沢の下水処理場でロケをした時は臭くて辛かったですね。気持ち悪くなって、昼の弁当が喉を通らないくらいでしたから」とのご発言があった。
おそらく1970〜80年代の特撮番組を詳細に観ていけば、この“所沢浄化センター”をロケ地とした作品もあるのではないかと思われる。もっとも関東の貯水施設で撮影許可が降りず、やむを得ず“ここ”を使うという、特殊な例かも知れないが…。
『マッハバロン』第24話の場合、「KSSメンバーが敵アジトの地下で監禁されるシーン」のシチュエーションからして、どうしても強烈な臭気の逃げ場のない地下空間での撮影を行わざるを得なかったのだろう。し尿臭気のコロイドは、当然KSS制服や、そごう提供のダンディな村野博士(団次郎氏/現.団時朗氏)の衣装にも付着した筈であるから、当該ロケ地の次の撮影は、臭気のこもるロケバス移動を含め、凄惨を極めたのではなかろうか?
地下入口!? 実際に撮影で使われた地下スペースへ行くために、まずはこの建物に入り階段を下りた…と推測するが、いかがだろうか。立入禁止のため、残念ながら確認のしようがない。
地下入口と思しき建物と隣接する配管集合体。劇中散見される複雑な配管と酷似したものが、地上部にも設置されているので、おそらくここの地下で撮影が行われたのではなかろうか。
えびの高原地下にあるロボット帝国秘密基地に軟禁された陽は、目が見えない。基地内の只ならぬ機械音を察した陽は、タンツ陸軍参謀に「一体何を造っているんだ!」と怒りに任せて訊くが、タンツは「“V900地獄作戦”をただ見ていればいいのだ!」と嘯く。天井と前後左右に真新しいパイプ類が多数確認できる。
陽は目隠しのまま、敵基地内の一室に転がされる。背後にやや古い太いパイプとタンクが確認できる。
水爆ミサイルの製造工場の真新しいパイプ類が、広角レンズで映される。
傷めた目を覆っていた目隠しを、意を決し取り去った陽の目に、基地内の真新しいパイプ・バルブ類がぼやけて見える。
徐々に視力を取り戻してきた陽は、敵基地内を疾走し様子を探る。広角レンズで映された真新しいパイプ類・計器類が見える。
建造途中の水爆ミサイルを発見した陽は、なんとか村野たちに連絡を取らねば…と焦る。同シーンではタンツに連行された際に通った通路が再度映り、天井と前後左右に真新しいパイプ類が多数確認できる。
事態打開が極めて困難だと分析した村野博士は、ある作戦を秘めてKSSメンバーともに敵へ投降。地下基地内、5人は両手を鎖で拘束される 。5人は真新しいスチール製の強固な角材に固定される。その隣には数多くのバルブ類も確認できる。
解放条件として、マッハバロンに水爆を搭載する作業を受け入れた村野は、図面を持ってバロンを仰ぎ見る。その背景には、真新しい四角いダクトや数多くのバルブが確認できる。
KSSメンバーを救出するため、敵基地内に潜入した花倉刑事と健一だが、特殊電波で敵に操られる村野とともに、KSSメンバーから隔離される。背後には真新しいパイプや計器類が確認できる。
タンツに操られている村野は、陽・花倉・健一・KSSメンバーら6人にエレベーターに乗るよう命令する。背後に巨大なタンクとパイプ・計器類が確認できる。
隣接するスペースに、乾燥した汚泥が積み上げられたトタン屋根の汚泥舎があるため、ここが撹拌して分離させた汚泥を乾燥させる直前の過程だと推察される。
尚、去る6月2日、所沢市は所沢浄化センター跡地の売却に関し、株式会社KADOKAWAと基本協定書を締結した旨を発表した。KADOKAWAの製造・出荷機能の一大拠点(大型ソーラーパネル設置・屋上庭園を整備した工場棟)の開発とともに、KADOKAWAの文化資産を活かした図書館・美術館・集会所・企業内保育所などの公共貢献施設が提案されている。規模は4階建て延べ7万4,690平方メートル。建設地敷地3万7,382平方メートル(うち、2万2,050平方メートルが建築面積)。2015年10月に着工、2017年7月竣工の予定。所沢市の“マチごとエコタウン所沢構想”に連動した形で行われる模様だ。
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