正和ビル周辺
“正和ビル”は、芝大門1丁目に建つオフィスビル。老朽化に伴う建替えが進む中、数少ない40年選手のひとつとして、いぶし銀の存在感を放つ。
第10話、熊野警部が自転車で疾走する路地は、このビルの真下にある。
第10話、第12話に於いて、数々の印象に残るシーンが“正和ビル”周辺で撮影されていることは興味深い。
“正和ビル周辺”レポート
レポーター◎バロンロケ地調査隊×「こちら特撮情報局」奥虹

『レッドバロン』第10話、敵ロボット・マウマウとの激闘に勝利寸前のレッドバロンだったが、謎の破壊光線によって倒され、立ち上がれなくなってしまう。
大郷から指令を受けたSSIメンバー(と熊野警部)は破壊光線の発射装置を探すため、大作&熊野、哲也&真理の二手に分かれて二つのビルに向かう。そして、それぞれがビルの屋上で発射装置を発見し、メカロボの攻撃を躱しつつ破壊しようとするが、敢え無く跳ね返されてしまうのだった。健とレッドバロンの命運や如何に…!?
第10話で、大作と熊野が破壊光線の発射装置を見つける屋上の南東角。ビル本体と同じタイルで外装されていた屋上建屋部分は綺麗にリニューアルされているものの、接合部分の障壁らしきものが当時を偲ばせる(上)。

また劇中、その障壁越しに一際目立って映り込んでいた浜松町の“世界貿易センタービル”も、今では高層ビル群の中に埋もれつつある(下)。
1975年度版の住宅地図を紐解くと、10F建前後のビルはまだ少ないことが分かる。そこで、大作と熊野が上った“正和ビル(9F建)”付近の同等階のビルを絞り込み、哲也と真理が上ったであろうビルの目星を付ける。二人の遠景に映る東京電力本店(千代田区内幸町)の無線鉄塔が、同じ第一京浜沿いに建つこのビルの屋上から見通せることは想像に難くない。また、'75年度版の地図では、隣接する場所に“風呂店”なる記載があることから、近景に映り込む煙突との整合性もとれる。…という訳で、芝大門1丁目にある某ビル(建替え済み)が、最有力候補として残った。
破壊光線の発射装置を探して哲也と真理が上ったと思しきビルは、当時の面影を残すことなく、綺麗に建替えられている。屋上シーンのみの登場だったが、柵や外装などの特徴的な意匠が記憶に残る。
『レッドバロン』第12話アイアンホーク号の無線に大郷ボスから帰還命令が入った。SSI本部で一同が耳にしたのは、国家警備本部からの極秘命令。「レッドバロンと同格のロボット・迅雷(ジンライ)を設計した小田切博士が極秘帰国する。全力で博士を警護しろ」というものだった。大郷ボスの命令により、小田切警護の任には健と真理が就く事になった。
一方、デビラー総統も小田切の極秘帰国の報を把握していた。鉄面党の世界戦略のためにも、断じてスーパーロボット・迅雷を建造させてはならない! デビラーは直ちに女殺し屋・キラーQを召喚、小田切の暗殺を命じる。
キラーQのアジトとして第12話にも登場する“正和ビル”。室内から見える窓外の景色も、同ビルからのもの。銀座での追跡劇の後に、哲也が再び訪れる際には“正和ビル”の(金属製の円筒柱に支えられた)エントランスがはっきりと確認できる(上)。

洗脳の解けた哲也が、ビルを後にする際に見上げるアングル。“芝公園”の表記と“十仁病院”の広告を掲げる電柱は現存しない。(下)。
狡猾なキラーQの作戦は、警護に就くSSIのいずれかのメンバーを洗脳、小田切暗殺に加担させる恐ろしいものだった。自動車セールスを口実にキラーQ(以下人間態は“Q”と表記)に誘き寄せられた哲也は拘束され、洗脳メカにより小田切の到着日時・場所を自白させられる。
空港を出発した健・真理の自動車には、既に小田切が乗車していた。車中、スーパーロボット・迅雷の設計図保管場所を心配する健に対し、小田切は「設計図は私の脳細胞の中にあるので安全です」と微笑む。
狙撃の名手であるがゆえ、その腕を利用されてしまったことを悔い、贖罪を決意する哲也…。第12話でもストーリーの要となる“正和ビル”の屋上(上)。

キラーQに洗脳された哲也がライフルを構えて、小田切博士を乗せた車を待ち構える屋上の北西角。第10話(南東角を使用)とはアングルを変える工夫が為されている(下)。
その頃、ヘッドフォン型洗脳電波装置を装着され屋上に立った哲也は、Qから小田切を狙撃するよう促されていた 。小田切を乗せた自動車が、哲也の構えるライフル銃口へと次第に接近していく。車を運転する健に照準を合わせた瞬間、哲也の洗脳が一瞬解けフリーズ。見かねたQは咄嗟に哲也のライフルの引き金を引き、銃弾は小田切の心臓を一撃で貫いた。
小田切即死後、完全にQによる洗脳が解け、自分が鉄面党に利用されたことを覚った哲也は、「俺にはSSIメンバーの資格はない」と独白。SSIバッジをライフルに置き添えると、自分を罠にかけた卑劣なQに復讐するため、ビルの屋上から姿を消す。
小田切が狙撃されたことを知った大郷ボスと大作は現場へ急行。熊野警部から犯行手口の一部始終を聞いた大作は、「ここから一発で仕留めるなんて、犯人は相当の腕の奴だ」と驚愕する。ライフルに哲也の指紋が残っていた事実を、熊野がSSIメンバーに伝えるに至って、大郷ボスは「何かの間違いだ。これは鉄面党の罠だ!」と反論する。
“正和ビル”と道路を挟んで北側に隣接する“中退金ビル(8F建)”跡地(現在は所有者が代わって新たにビルを建設中)。第10話、第12話共に映り込んでいる、屋上にちょっとしたオアシスとバスケット・ゴールのあるビルだ。
第12話では、狙撃現場へ駆け付けた熊野・大郷・大作の背景に、“中退金ビル”屋上建屋と“東京タワー”の土台部分がはっきりと確認できる。この“中退金ビル”は、数多くのドラマのロケ地としても重宝された。
“正和ビル”の西側に位置する“昭和電工”は当時4〜5F建で、小田切博士を乗せた車に向ける哲也の銃口を遮るまでの高さはなかった。尚、映像からは、二棟のビルの間に鎮座する“芝大神宮”の気配を感じ取ることはできない。
また劇中、“SHOWA DENKO”のロゴと共に見切れる赤褐色のビルは、“昭和電工”と道路を挟んで北側に隣接していた“昭興ビル(10F建)”。ここも“昭和電工”から所有者が代わって、オフィスビルに建て替えられた。
メカロボが哲也に狙撃の合図を送るのは、“正和ビル”から北西200メートル程の距離にある“東京電力 浜松町ビル”の屋上。建物は当時のままで、窓枠の意匠が映像と一致する。
メカロボの立っていた場所(北東角)の撮影に挑んだが、周囲の高層ビルに遮られて残念ながら叶わなかった。
羽田空港で小田切博士を出迎えた健と真理の車は首都高速を走り、芝公園ランプで下りる。
キラーQに洗脳された哲也は、“正和ビル”屋上の北西角から小田切博士を狙撃すべく、健の運転する車を待ち構える。
映像では、交差点の右側に木造建築の“大門旅館(現.芝大門ホテル)”、少し奥には在りし日の“日活アパート(現.芝パークビル)”も確認でき、建物マニアには嬉しい限り。
車を運転する健の目線で、哲也が銃口を向ける場所を望む。映像にはない視点だが、“正和ビル”の北西角が真っ直ぐ道路を向いているのが改めて分かる。
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