成城テニスクラブ
“成城テニスクラブ”建物の側面その1。方向としては、(Aパート)真理の誕生会スペース中、真理の席の背後にあたる。1階部分は受付ロビー・更衣室・ロッカー・シャワールーム等。クラブオーナーのお話によれば「“白い客船”をイメージしてデザイン・建築されています」とのこと。
“成城テニスクラブ”レポート
レポーター◎「こちら特撮情報局」奥虹

今回紹介させていただくロケ地は、『レッドバロン』第11話、鉄面党が目論む“紅健暗殺作戦”の舞台となった“成城テニスクラブ”だ。
鉄面党の刺客・鉄腕アンクルがバラの花束に仕込んだ“超ミクロ電磁波受信装置”を注入された真理。洗脳されたまま、熊野とSSIメンバーが待つ誕生会々場のクラブハウスへやって来る。真理は鉄腕アンクルの命じるまま、ナイフで紅健を刺殺しようとするが…というサスペンス色の濃いエピソードだ。
“成城テニスクラブ”建物の側面その2。玄関入口は観葉植物の奥。方向としては、(Aパート)真理の誕生日会スペース中、熊野警部と哲也の席の背後にあたる。真理が1階外から2階ベランダへと昇った“螺旋階段”が、画像中央に微かに確認できる。画像手前は、後年できた駐車場だが、当時ここにプールがあったらしい。
舞台の“成城テニスクラブ”さんは1972年完成。40年以上の長きにわたり、地域のテニスファン諸氏から愛され続けている、調布市内の老舗テニスクラブである。ソフトクッション入りのハードコート5面、砂入り人工芝コート3面、壁打ちコートなどを備えている。
当日は“ロケ地確認”のため訪れたのだが、想定外で“ロケ地確定”となり、結果飛び込み取材になってしまった。それにも拘らず、女性オーナーさんは大変ご親切にご対応くださった。「当クラブハウスは“白い客船”をイメージしてデザイン・建築されております。近年は同業者さんが次々と廃業してしまい、近隣のお客様のためにも、出来るだけ永くクラブを続けていきたいと思っております」と、穏やかな笑顔で語ってくださった。
女性オーナーさんは写真撮影のお許しをくださったが、やはり40年前の『レッドバロン』撮影のことは、ご記憶にないご様子。もっとも、テニスクラブのオーナーとして、ロケ隊に撮影使用許可をお出しになることはあっても、施設貸与以降はロケ隊のテリトリーになった空間に立ち入ることを、ご自身で戒めていらしたから当然だろう。
2階部分とベランダ部分。2階談話室は、現在もお客様の憩いスペースとなっている。ベランダ部分が真理の誕生会スペース。中央の階段では、洗脳から解き放たれた真理が大郷に支えられ正気を取り戻した。哲也と大作に追われた鉄腕アンクルがクラブハウスから離れたため、装置の電磁波が弱まったからだ。
当該ロケ地は『太陽にほえろ!』第53話「ジーパン刑事登場!」(1973年7月20日放送)のロケ地としても、つとに有名。撮影が放送より2ヶ月先行と考えると、第53話の撮影は1973年5月中〜下旬の撮影と思われる。一方、『レッドバロン』のクランクインが1973年4月初旬。鈴木清監督の証言によれば、バロンシリーズは“2話1セット10日撮影ペース”とのことであるから、第11話は1973年5月下旬の撮影と思われる。すなわち『太陽にほえろ!』第53話と『レッドバロン』第11話は、偶然ながら非常に近い時期に、同一ロケ地で撮影されたと推察される。
マカロニ(早見淳)刑事(演.萩原健一氏)の後釜、七曲署新人刑事・ジーパン(柴田純)刑事役の故.松田優作氏。彼は『レッドバロン』坂井哲也隊員役の加藤寿(加藤大樹)氏との共演作が多い。映画「蘇える金狼」「野獣死すべし」に始まり、テレビドラマ『探偵物語』第27話(最終回)「ダウンタウン・ブルース」(1980年4月1日放送)では、松田氏演じる探偵・工藤俊作に刺殺されるヒットマン・平岡を加藤氏が好演している。渋谷の地下道で展開される、松田優作氏と加藤寿氏の狂気を孕んだ生々し過ぎる対峙を、ぜひソフトで直にご覧いただきたい。
余談ではあるが、『太陽にほえろ!』第52話(1973年7月13日放送)、マカロニ(早見淳)刑事を刺殺した“通り魔”を演じられたのは、若駒時代からの加藤寿氏の盟友・車邦秀氏。2004年10月、弊サイト主催“マッハバロンオフ会”席上、車氏は「撮影後、血糊を落とすため、ショーケン(萩原氏)と新宿歌舞伎町のラブホテルへ入り、二人してシャワーを使いました」と、明るく語ってくださった(笑)。
2階談話室から誕生会スペースを見下ろしたアングル。階段に固定された左柵の横に螺旋階段があり、右柵方向に真理の座る上座がある。画像上方向のベランダは、撮影時、複数のパラソル・椅子・テーブルで埋められ、爽やかで華やかな席であることが演出されていた。
話を戻そう。真理の誕生日を祝うべく、熊野とSSIメンバーはバースディケーキと料理を用意、真理の到着を待つ。上座となる真理の席は5面ハードコートの反対側。真理の席から時計回りに、大郷・健・大作・哲也・熊野警部の順。年齢や階級を配慮した常識に則った席順だ。真理の背後の畑や竹林は、この地域の大地主さんの所有。住宅地図で確認すると、現在そのうちの半分が宅地化され、残り半分はこの地域では稀少な農地のまま存在していた。
“超ミクロ電磁波受信装置”を注入され洗脳された真理は“黄色ドレス”姿で“赤マント”を羽織り、クラブハウスの螺旋階段を昇り、誕生会々場へやって来る。この螺旋階段は今も現役。螺旋階段に隣接するハードコート5面の裏には、駐車場がある。40年前、撮影スタッフ諸氏・俳優諸氏の乗ったロケバスはこの位置に駐車し、関係者は重い撮影機材を担ぎながらクラブハウスまで移動したのだろう。
SSIを代表して花束を渡そうとする健に、鉄腕アンクルに洗脳された真理は無表情で近づく。その刹那、健の左腕を斬りつける真理。鮮血を吹き出し倒れる健を守り、盾になるSSIメンバーたち。テーブル上の料理は散乱。阿鼻叫喚の最中、真理は哲也と大作に拘束されそうになるが、階段上に身を翻す。鉄腕アンクルの暗躍に気づいた大郷は、アンクルを追跡するよう哲也と大作に命令。アンクルが遠のき、一時的に“超ミクロ電磁波受信装置”の呪縛から解き放たれた真理は、大郷の胸で正気を取り戻す。
クラブハウス入口近くに駐車していたSSIジープとバイクで、疾風のように出撃する哲也と大作。二人の進路にある建物は、当時“日本鉱業”の社員寮だったが、現在は一般住宅に姿を変えている。
劇中、哲也と大作が鉄腕アンクルを追跡するため、SSIジープとバイクを発進させた通路。画像左側にクラブハウス玄関、右側の植物柵の奥にハードコート5面がある。進行方向の突き当りには、撮影当時“日本鉱業社員寮”があったが、現在は一般住宅になっている。
レッドバロンと力を合わせ、鉄腕アンクルと敵ロボ・ガルニゾンエースを駆逐したSSIは、改めて真理の誕生会をセッティング。“曇りない正義の心”に相応しい“純白ドレス”に身を包んだ真理は、SSI隊員として鉄面党と闘い続けることを誓う。上座となる真理の席はそのままに、時計回りに大郷・大作・哲也・健の席順設定。熊野警部・大助・ヨシ子たちも祝いの花束を持って駆けつけ、誕生会のテーブルは笑顔と歓声に包まれた。なお、テーブルに置かれていたドリンクは、『レッドバロン』第3クールのスポットスポンサーであった“不二家”の商品「ネクターオレンジ」250グラム缶(当時の標準小売価格70円)。スポンサーではないが“キリン”の瓶ビールも置かれていた(ビールを注ぐ健の手の隙間から微かに“キリン”のラベルが見える)。設定年齢18歳の紅健(岡田洋介氏)も、乾杯ではしっかりビールを呑んでいる(笑)。

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