こどもの国
“初代セントラルロッジ”跡
“紅ロボット研究所”として第1話に登場する“初代セントラルロッジ”は、左手後方の丘の上に建っていた。
“マッハバロン”の発進シーンでお馴染みの特撮セットは、“初代セントラルロッジ”と“白鳥湖”をリアルに再現している(上)。

“紅ロボット研究所”の初登場カットは、“初代セントラルロッジ”対岸の丘から俯瞰で撮影されている(下)。
こどもの国“初代セントラルロッジ”跡レポート
レポーター◎バロンロケ地調査隊

『レッドバロン』第1話、無人の筈の“紅ロボット研究所”を訪れた健の前に現れたのは、鉄面党に連れ去られた兄・健一郎だった! 健一郎は4年がかりで完成させた“レッドバロン”を披露し、健だけが操縦できるように指紋認証させる。“レッドバロン”を発進させて操縦訓練を受ける健は、突如現れた“トロイホース”にも怯むことなく、健一郎の指示を仰ぎながら様々な技を繰り出して敵を撃破する。…が、兄弟二人三脚で勝利した余韻に浸るのも束の間、健一郎は自身が鉄面党の“奴隷人間”であることを告白するのだった。
“奴隷人間”にされて尚、正義を貫こうと懊悩する健一郎の描写は、石田信之氏の憂いに満ちた表情を明暗反転することによって、そのストイックさを一層際立たせている。
現在丘の上に建つのは、昭和62(1987)年4月にオープンした、山小屋風の“二代目セントラルロッジ”。こちらも使用されなくなって久しい(上)。

“レッドバロン”に搭乗した健に指示を出す健一郎の目線に合わせて、“二代目セントラルロッジ”前より“白鳥湖”を見下ろす。(下)。
“こどもの国”は、1965(昭和40)年5月に開園。子どもたちが健やかに育つようにと、自然の中でのびのびと遊べる環境を基本にしており、面積は約100万平方メートルで、横浜市青葉区と町田市に跨がっている。
故.黒川紀章氏の設計による“初代セントラルロッジ”は、1964(昭和39)年12月起工、1965(昭和40)年5月完成。“白鳥湖”を見下ろす丘の上に建ち、鉄筋コンクリート造り、二階建て白亜の建物で、屋根は富士山のようにも見え、優美な姿を湖面に映していた。一階は集会室、吹き抜けのある広場、二階は宿泊室、それを取り巻くように浴室、トイレ、食堂、共同で使う部屋などが配置されていた。しかし、二階の宿泊室からの避難設備に不備があったために消防署と保健所の了承が得られず、“初代セントラルロッジ”は子どもたちの宿泊施設としてはほとんど利用されることがなかった。その外観の優れた芸術性にも関わらず、実用性に欠けていたのだ。従って、この“初代セントラルロッジ”は、一階部分を倉庫、または職員・指導員の臨時の宿泊所として利用していたが、“二代目セントラルロッジ”の建設を機に解体されることとなった。
1973(昭和48)年の撮影当時、“初代セントラルロッジ”の螺旋階段がいたく錆び付いていたことからも、完成後程なくしてこの施設が使われなくなったことが伺える。
“初代セントラルロッジ”から外付け階段を下りた場所には、同時期に完成した“野外集会場”があった(ステージと客席部で構成)。
落葉が堆積して柔らかい足場の斜面の先には“白鳥湖”の東端が見える。
在りし日の“初代セントラルロッジ”の美しい姿は、『ウルトラマン』(1966〜67年/TBS/円谷プロダクション)、『帰ってきたウルトラマン』(1971〜72年/TBS/円谷プロダクション)、『仮面ライダーV3』(1973〜74年/毎日放送/東映)、『イナズマンF』(1974年/NET/東映)、『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975〜77年/NET/東映)、『ザ・カゲスター』(1976年/NET/東映/大広)などで確認できる。
尚、
『愛の戦士 レインボーマン』(1972〜73年/NET/東宝株式会社)に関しては、「こちら特撮情報局」内コンテンツ“特撮ロケ地巡り(第7回)”にて、“こどもの国”という括りで詳しく紹介している。
“野外集会場”と“初代セントラルロッジ”を結ぶ階段は、人工物では唯一の痕跡。この階段を上った先に、かつて近未来的な建造物があったとは、俄には想像し難い(上)。

階段の上部はコンクリートが劣化し、草に埋もれている(下)。

実用的な役割は果たせなかった“初代セントラルロッジ”だが、“正義の研究所”や“悪のアジト”として鮮烈な印象を残すという点では、子どもたちの情操教育に一役買ったのではなかろうか。
最後になりましたが、本レポートは“社会福祉法人 こどもの国協会”様よりご提供いただいた書籍「こどもの国三十年史」を基に構成いたしました。貴重な資料ご提供などのご厚情を賜りました“社会福祉法人 こどもの国協会”様には心よりお礼を申し上げます。
本年5月に迎える“こどもの国”開園50周年をお祝いすると共に、益々のご発展をお祈りいたします。

こどもの国
出典:「こどもの国三十年史」社会福祉法人 こどもの国協会
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