白糸の滝
劇中、鈴木清監督は高角レンズで滝を捉えているため、滝が高く見えるが、実際は約20メートルほど。撮影は主に洲で行われた。紅博士と健のツーショットは、画面中央よりやや左に寄った辺りで撮影されたと思われるが、当該箇所は水没している。
“白糸の滝”レポート
レポーター◎「こちら特撮情報局」奥虹

『レッドバロン』第39話(最終話)、健を銃殺刑に処すため引き金を引こうとした紅健太郎博士を制止したのは、意外やギラスQ総統だった。ギラスQは紅健を死刑に処すより、バロンとその唯一の操縦者・健を、宇宙鉄面党の配下として支配する方が得策だと考えたのだ。
その刹那、ギラスQに従順だった紅博士が、突然胸を押さえて苦しみ出した。鉄面党に誘拐された際、既に脳細胞以外“サイボーグ”に改造された紅博士の人工心臓には、僅かながら狂いを生じていたのだ。直ちに宇宙鉄面党の緊急医療班が人工心臓を調整し、事なきを得た。そんな紅博士に対し、健は「あんたは俺の父さんじゃない。心を持たない機械人間だ!」と軽蔑の言葉を放つ。
宇宙鉄面党を倒すことは出来なくても、せめて“フォボス惑星ミサイル”の推進装置を破壊することは出来る。そう考え再びレッドバロンに搭乗する健だが、既に父の部下により動力源である原子炉が抜き取られており、バロンは始動しない。
その頃SSIは、電送装置を捜索に行ったまま戻らない熊野の行方を捜すため、“宇宙線研究所”に潜入していた。戦闘員を次々と打ち倒す三神・哲也・真理だが、捕縛される眼前の熊野警部を“餌”にされ、電撃の罠で一網打尽となる。
ギラスQの命令で三神ら4人は火星に電送連行され、フォボス惑星ミサイルの操縦士として、地球へ射ち込まれることになった。
火星基地内の健の部屋に電送されて来た4人の姿に、健は驚くが、部屋へ入ってきた紅博士は、何故か4人を丁重に持て成そうとしていた。人工立体スクリーンで海の景色を映し出した部屋で、三神ら4人に紳士的に声をかける父・紅博士を、健は不安げに見守っていた。
「はっきり言うといい。私が宇宙鉄面党技術最高幹部であることを!」。紅博士の放った衝撃的な告白を4人はすぐに理解できない。グロテスクな人工心臓を敢えて露出させた紅博士は、4人に「永遠の生命は人間の夢。私は死を恐れず生き続けることが出来る」と、諭すように語る。
三神は紅博士が何者かに頭脳を操られていることを看破。健にそのことを伝えた途端、4人はフォボス惑星ミサイルの操縦席へと電送されてしまう。「地球を破壊してしまったら、何にもならないじゃないか」。ミサイル発射中止を求める健に、紅博士は「我ら宇宙鉄面党にとって地球など一個のテスト場に過ぎないのだ」と冷徹に答える。さらに地球爆破テストが成功した暁には、今後は宇宙征服に乗り出すという。
紅博士の懐にあった黄金銃を奪い取った健は、父に作戦の中止を訴えるが、もみ合ううちに弾は紅博士の胸を貫通した。同時にフォボス惑星ミサイルは、地球に向け発射されてしまう。
ギラスQと直接対決を目論む健は、ギラスQが人工頭脳であることを知ると、冷静にこれを銃で破壊した。弾が貫通したショックで正気を取り戻した紅博士は、5分経つと自動的に次のギラスQが誕生すること、惑星ミサイルを阻止するためにはフォボスに直接乗り込まなければならないことを健に告げる。
紅博士は抜き取っていたレッドバロンの原子炉を健に手渡すと、スペースバスでバロンの後を追うことを約束する。再起動したバロンの前に、またもや宿敵・デイモスZが出現。デイモスZは小型ミサイル連射と火炎放射の連続攻撃でバロンを圧倒、更には瞬間移動でバロンのビーム攻撃を難なくかわす。
息子のピンチに際し、デイモスZの移動装置を停止させた紅博士は、さらにデイモスZの弱点が火炎面の右目部分にある旨を健に伝える。バロンはすかさずバロンパンチでデイモスZの右目を破壊すると、制御の効かなくなった敵にレインボーショットを炸裂させ、遂にはこれを葬り去った。
父の操縦するスペースバスと合体したバロンは、フォボス惑星ミサイルを追いかけ宇宙空間を往く。5分が経過し新たに甦ったギラスQ(2号)は、地球への総攻撃を宣言。
惑星ミサイル操縦席の4人を救出した紅博士だが、再び甦ったギラスQの呪縛に負けそうになり「早く私を殺せ!」と叫ぶ。苦しみながらも惑星ミサイルの軌道を火星基地へと変えた紅父子と三神ら4人は、バロンとスペースバスに搭乗しフォボスを脱出。ギラスQ(2号)はフォボス惑星ミサイル・火星基地とともに自滅、宇宙の藻屑と消えた。
おそらく撮影隊は(画像右上にある)駐車場にロケバスを停め、傾斜のきつい階段を下り、画像中央の河原を通り、滝に近い洲へ移動したと思われる。
力を合わせ地球の平和を取り戻した紅父子・SSI・熊野は、富士山麓で野点を堪能する。紅博士は着物姿も麗しい真理の点てた茶を「地球の味。日本の味」と評し、満足げだ。同じく着物姿の水木隊員が奏でる琴の音を楽しみながら、紅父子・SSI・熊野は“白糸の滝”を散策する。紅博士は「一度だけでいいからレッドバ ロンを操縦してみたい」と健に告げるも、その途端、心臓を押さえその場に倒れ込む。
駆け寄る三神たちに対し、息も絶え絶えの紅博士は、「地球と火星では重力が違う。人工心臓に狂いが生じたのだ。早くレッドバロンに乗せてくれ」と苦しそうに訴える。バロンを召喚した健は父を背負い、瀕死の父の言葉を噛みしめていた。「人間はロボットになることが出来ても、ロボットは人間になることは出来ない。人間の生命も時のなかで育ち、やがては大地に還るべきだ。滅びない生命などない」と。紅健太郎博士は息子・健のその背中で事切れた。
バロンのコックピットに亡き父を座らせた健は、父がバロンに乗りたがった理由が「最期は人間らしい誇りを取り戻したかったから」だと気づく。熊野は「紅博士は“機械じかけの明日”を自ら拒否なさった」と、尊敬の念を隠さない。富士山麓の大地を一歩一歩踏みしめるバロン。共にバロンの操縦桿を握る亡き父に、健は「どんなに科学が発達しても科学の奴隷にはならない」と固く誓うのだった。
画像左手が滝の本流。着物姿の水木隊員は、画像中央の後方辺りで琴を奏でる。その手前辺りでは、三神博士・熊野警部・哲也・真理が和やかに語らっている。
“白糸の滝”は、富士山の南西の麓に位置する滝。高さ約20メートル・幅約200メートルの絶壁から大小数百の滝が富士山の湧水を運んでいる。その水量は一日あたり約15〜16万立方メートル。鎌倉時代、かの源頼朝がこの地で巻狩りを催した際、滝の流れを観て和歌を詠んだとされ、また古くから富士山講の水行の場所でもあり、人々の巡礼・修行の場所になっている。1936(昭和11)年、当時の「史蹟名勝天然記念物保存法」のもと「名勝および天然記念物」に指定され、2013(平成25)年6月22日には「富士山〜信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産の一つとして「世界文化遺産」に登録された。
“白糸の滝”でロケが行われた特撮作品には
『ウルトラQ』(1966年/TBS/円谷プロダクション)第7話、『帰ってきたウルトラマン』(1971〜72年/TBS/円谷プロダクション)第12話、『轟轟戦隊ボウケンジャー』(2006〜07年/テレビ朝日/東映/東映エージェンシー)第45話などがある。

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人工心臓の寿命から倒れ込んだ紅博士をかばう健。当該シーンは画像左端辺り(既に水没している地点)で撮影されたが、キャメラはこの洲の中央辺りに設置されたと思われる。40数年前に露出していた岩肌は、今や繁茂した草によって隠されている。
『レッドバロン』第39話(最終話)の撮影は、クランクインから逆算して、1973(昭和48)年12月〜1974(昭和49)年1月頃と思われる(最終話放送は1974年3月27日)。劇中の景色を見るかぎり、その頃の“白糸の滝”前の洲の面積は、現在より広かったようだ。しかし『愛の戦士 レインボーマン』第17話ロケ地である、静岡県裾野市“裾野市中央公園・五竜の滝(ごりゅうのたき)”でも顕著だったが、滝の激しい水流によって起こる浸食のため、40数年前の『レッドバロン』最終話も、『レインボーマン』第17話同様、撮影ポイント(洲)の一部は既に水没していた。
尚、“五竜の滝”については、『こちら特撮情報局』内コンテンツ“特撮ロケ地巡り(第15回)”にて詳しく検証している。

富士宮市役所 白糸の滝
ロケ地全景。極めて限定的な箇所で撮影されていることが分かる。画像左端辺り、コンクリートで舗装されている箇所には、つい最近まで2軒の売店があったが、景観優先のためか全て撤去された。
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